坂詰晋作さん(さかづめしんさく)さん/坂詰養鯉場

坂詰晋作さん(さかづめしんさく)さん

日本のみならず海外の愛好家からも高い評価を受けている「坂詰の藍衣」を確立した坂詰氏は、今も自らの感性を大事にしながら全国大会で上位入賞する藍衣を作り続けている。現在は、海外でも徐々に人気が出始めている藍衣、ぶどう衣、墨衣などの衣を中心に、紅白、昭和、大和錦を生産している。


坂詰養鯉場坂詰養鯉場は、山古志周辺で養鯉場ができ始めた1964年に先代・作太郎が設立しました。先代は、山古志周辺の弥五左衛門(やごぜん)紅白の流れを汲む、たまげるほど真っ赤な緋を持つ「さくべえ紅白」というブランドを確立し、紅白を主体に生産していました。その頃は、錦鯉が本当に地域に密着していたこともあり、小学生、中学生になる頃には学校から帰ってくるとえさをやりに山の溜池に行くなどよく手伝いました。その後、1972年社会人経験を経た25歳の時に本格的に鯉の生産に関わるようになりました。私はどこにも修行に行かず坂詰養鯉場で錦鯉生産を始め今に至っていますから、先代から教わった「鯉の様子を見ながら手入れをしてやる」ということが今の私の錦鯉についての考え方の基盤にあります。先代に教わった、日の出と共に養鯉池まで足を運び鯉の様子を見ることは今も継続しています。やはり、錦鯉は自然と一体となって生産するものだと考えていますので、自然と共に歩みながら仕事をしないといけないと思っています。

藍衣現在、坂詰養鯉場では、衣、紅白、昭和、大和錦を生産しています。生産の半分が衣で、衣の半分を人気が出てきたぶどう衣が占めています。私が衣を生産し始めたのは、1991年です。1990年の新潟県で行われた(社)全日本愛鱗会『全国大会』で種別日本一を獲った藍衣を見て「これは美しさを競う鯉ではなく、親鯉に使う鯉だ」と直感し、オーナーに親鯉として使うことを頼みに行ったことがうちの藍衣の始まりでした。この鯉は、模様はそれほど良くなかったのですが、抜けるような美しい白地、藍のサシの素晴さ、体全体にのる緋の上の藍と「親鯉として優れた素質」を持っていました。今はもうその親鯉はいませんが、その系統はずっと続いています。私は、自分の感性に基づいた錦鯉を作ることが錦鯉生産の面白さだと思っています。だからこそ、自分の直感を頼りに自分の感性に基づいて作出したうちの藍衣が、愛好家に支持されることはとてもうれしいです。

坂詰藍衣藍衣の基本的な見方は、藍色を見ることです。理想的な藍衣は、緋の鱗の所にすっと綺麗な藍色が入っていて、サシも美しい藍色であるものです。緋全体に衣がつき、それが固まらず網目模様であればなお良いです。藍衣にとって一番重要なのは模様よりも何よりもまず藍。親の選定時も、緋の質同様に藍の質も遺伝することからやはり藍の質を重視します。やはり、衣がきれいでないと衣と言えないと思います。

池上げ坂詰藍衣の特徴は、他の藍衣と比べて模様付き、形付きがいいことです。最初の頃は、衣が3段、4段にわたって出ているなど衣の付きが抜群でした。衣の形付きだけでなく、付きが早いのも特徴の一つです。うちの藍衣は当歳から衣が出るので、当歳から育ててもらうことが出来ます。当歳から藍が出てるので成長すると黒くなるのではないかと言われますが、うちのはそうはならないんです。また、うちの衣はうまく育てれば80cm以上に大きく成長することが出来ることも魅力です。衣は体型がよくなりにくいと言われてますが、ウチの親鯉は80cm以上ありますから、いい環境で育てればいい体型にすることが可能だと思います。

養鯉場で選別する坂詰めさん私の目標は、藍衣で品評会を優勝するとか国魚賞を獲るとかではなく、お客さんに喜んでもらえる鯉を作ることです。世界中の人達から「坂詰さんの鯉は美しい」とか「坂詰さんの藍衣がよくなった」とか「坂詰さんの鯉で品評会の賞を取った」とか言われると、励みになるからです。やはり自分の感性で作った鯉が愛好家に喜んでいただけることは生産者冥利に尽きます。

海外の愛好家の皆様は、もう既に錦鯉のことを良く知っていますので私からアドバイスすることはないと思います。ただ、藍衣の生産者として言えることは、鯉の知識もそうですがとにかく藍衣を育ててみてくださいということです。藍衣は自分の池にたくさん飼う品種ではありませんが、池に一匹いるだけで池が映える鯉です。是非一度飼ってその楽しみを味わってみてください。よろしくお願いします。


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(取材日:2006年3月15日)

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